危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「深く傷ついた蓮はうちの両親が引き取ったあとも、自分の殻にこもっていた。それでも私にとっても両親にとっても、蓮は大切な家族なの」
真摯な様子からその言葉が嘘とは思えなかった。麻美は淡々と語り始めた。
蓮が10歳の時に、両親が強盗に殺されたこと。犯人はすぐに特定され指名手配されたが、警察に捕まる前に自害したこと。叔父である麻美の父親が蓮を引き取ったこと。麻美はゆっくりと言葉を選びながら話し始めた。
「賢い子だった。我慢強くて、子供らしいわがままを言ったこともない。事件のあと何年かは泣くことも笑うこともできなくなった。医師からはPTSDだと言われた。当たり前よね」
「…………」
「事件は蓮から幸せな子供時代と、笑顔を奪ってしまった。今だってそう。壊れたお皿を接着剤でくっつけたって戻るはずないわよね」
一言一言がぐさりとすみれの心に刺さる。
まだ蓮のことなどなにもわかっていなかったことがショックだった。少しずつ距離は埋まっていると思っていたがうぬぼれだったことを知る。