危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
 麻美の言葉は、遠回りにすみれの一番弱いところを刺していく。
真相はどうであれ、蓮の葛藤を想像するだけでこの場から逃げ出したくなる。父への憎しみとすみれへの情で揺れている蓮の苦しみを想像しただけで、もう限界だった。

 信じられない、信じたくないけれど、全くの嘘とも思えない。少なくとも疑うだけの合理的な理由があるのだろう。蓮が言いたくて言えなかったのは、このことなのだ。そう思い始めている自分がいた。
 
「蓮を返して。あなたに罪がないのはわかってる。ひどいお願いをしていることも」

 ──蓮はモノじゃない。
 だけど、それを言える立場じゃないのが悔しい。心臓がバクバクと不吉な音を立てる。
 胸が苦しくなる。まずい。発作の兆候だとわかってはいても、薬を飲むことができなかった。
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