危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 麻美はなおも、蓮には普通の幸せな家庭を築いてほしいなどとまくし立てていたが、それはただの音となってすみれの頭の中には入ってこなかった。

 どれくらい時間が経ったかわからないが、放心状態のすみれを置いて、麻美は出ていった。

 もしも少しでも父に疑わしいところがあったのなら、彼女は正しい。
 親の仇の娘となど関わるべきではないのだ。
その正しさがすみれをひどく傷つけた。間違っているのはすみれと蓮で、それは疑いようのない事実だった。自分が蓮の家族でも、同じことを言うし、平穏な幸せを手にしてほしいと願うだろう。

 ふと窓の外を見ると、雨が降り始めていた。

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