危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
大切な人

 宝来正道の事務所を退職し、大学院へ戻る手続きをした日。
 すみれに全てを打ち明ける覚悟で、会いにいくつもりだった。過去を忘れることはできなくても、謝罪しそれでも一緒に生きてほしいと伝えるつもりだった。
 たとえ許してもらえなくても、許してもらうまで待つ。すみれと離れて生きていくのは耐えられない。すみれだけが、蓮の心を過去から未来へ向かわせてくれた。

 すみれに連絡をしても返事がなかったから、また何かあったのかと心配になってすみれの部屋の前で待っていた。しばらくするとすみれが帰ってきた。

「すみれ。どうした。顔色が悪い」

すみれが血の気を失った顔で、傘も差さずにずぶぬれで帰ってきた。

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