危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「仕事は在宅でできるんだ。上司にも行ってこいって言われたの」
嘘だった。新幹線の中で、上司の鈴木からメッセージが来ていた。[体調が許すなら在宅でできる仕事を回すから][あなたの仕事を信頼している]とも。
ありがたかった。ここでも救われている。
会社で貯めたお金は、自分ひとりなら一年くらいは地味な暮らしができるという程度だった。
なにか目的があるわけではない。疲れた羽を休めるための場所を求めていた。
負けは負け、それを認めたほうが生きるのは多分楽になる。結局なにものにもなれないまま、自分を励ましたり、憐れんだりしながらここまで来たのだ。
逃げているだけなのかもしれない。でも一度も逃げたことがないなんて人と、きっと誰ともわかり合えない。逃げることが生きるために必要不可欠な時もある。今がそうだった。