危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「いいんじゃない。ゆっくりしていきな」
心を読んだかのように祖母が言う。
そして気がついた。
「あぁ私、雪に埋もれたこの町で絵が描きたかったんだ」
ふっと小声でもらした言葉は、耳の遠い祖母には聞こえなかったようだ。
たらふく食べたあと、すぐに部屋にこもって、もってきた画材を開いた。化粧品のポーチを忘れることはあっても、これだけは常に持ち歩いている。一種のお守りのような。
「蓮はあなたといても幸せにはなれない」
麻美に言われた言葉に反発したものの、それは本当のことだったと思う。人を騙すより案外自分を騙すほうが難しいものだ。
いつしか心に堅牢な壁を築いて、誰も入れないようになっていた。