危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
 蓮には蓮の築いた壁があって、身勝手にもそこを乗り越えいと願うようになった。でもできなくて、その理由を知って、怖くなって逃げだしだのだ。

二人ではどこにもたどりつかない迷宮を彷徨うことしかできなかったのだ。

「ごちそうさま」
「二階の部屋、使って」

 食事を終え、以前過ごした部屋へ十二年ぶりに入った。
 障子を開けて窓の外を見る。分厚い雪雲に覆われた空には、月も星もありはしない。雪が世界の色を奪い去る。
 雪の中に寝そべる自分を夢想する。舞い落ちる六花が体を覆い尽くし、世界の一部となる自分を。そうしたらすべて許されるような気さえする。

 こんな夜には、静けさがいとおしい。
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