危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
蓮との恋は、美しい思い出とは言いがたい。それなのに、苦さと痛みと共に蓮の声が、髪が、手が、消えない残像のように私の心にこびりついて離れないのだった。
蓮は自分と出会わなければ、すみれは平穏な日々を過ごしていたはずだと言った。達也と結婚し、はたから見たら順風満帆な人生に見えたかもしれない。けれどぽっかりと心に空いた穴ではきっと冷たい風が吹いていたことだろう。
流されるだけの人生は、それは楽かもしれない。でも満たされることもきっとないだろう。
誰かと争わないように生きるには、自分というものを殺すしかなかった。
それは果たして幸せと言えるのだろうか。