危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
時間は限られているのかもしれないと思うと、必然筆を持つ時間が増えた。それに集中力も長く深くなっていった。
趣味だからとごまかしごまかし、いたずらに描いていたが今はもう描くことは生きることと同じ意味になっている。
いつか死ぬなら、雪の中で誰にも見とられずに逝きたい。もう少しだけ生きたい。
でもまだだめだ。
──これを描かなきゃ。
それはいつか蓮に見せると約束した物語の最後の頁だった。
もう約束は叶わないけれど、昔から約束したことは必ず守ると決めている。
完成した時の、言葉にできない充足感。これだけ満たされた気持ちになったのは始めてだった。
階下から、祖母が自分を呼ぶ声がした。
立ち上がろうとした瞬間、目の前が白くなり、頭から床に倒れ落ちた。