危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
50近い所長は、からかうような口調をする。外見はどこも似ていないのに、この人を見ていると父をよく思い出す。
「まだ全然。わからないことだらけです」
「初めて〇が面接に来た時は、人でも殺してきたみたいな暗い顔してて、どうしたもんかと思った」
すみれと別れ、なんの希望も見いだせなかったのを、なんとか石にかじりつくように生き延びたのだ。
「あながち間違ってないかもしれません」
「いや、最近大分顔立ちが穏やかになってきた。仕事以外の息抜きも見つけたほうがいいとは思うけどな」
仕事に没頭することだけが、心を平らにする唯一の術だった。休日も自宅に書類を持ち帰り、暇な時間を作らないようにしていた。