危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
応接間で待っていたのは、上條達也だった。苦い過去の傷が疼く。
すみれと別れしばらく自暴自棄になっていたが、堕ちるところまで堕ちたら結局は、死なない限り生きるしかないという現実にいきついた。
宝来正道は、2年前の汚職事件で逮捕されたが、結局蓮の両親の事件については立件されなかった。週刊誌は何度か疑惑を取り上げたが、やはり年数が経ちすぎていた。
権力も財産も全て失った姿を見てもなにも感じなかった。自分の中の復讐心が風化されたことに気づく。
その名を聞いても憎しみは小さな砂粒のようになって、もう心を焼くようなことはなく、ただ喪失感と悲しみだけが残った。
もし天国で両親が見ていたら、自分になにを望むのか考えた時、行きついた答えはとてもシンプルでただ息子の幸せだけを祈っているだろうと思えた。
自分にとって、幸せがなにか、もう思い出さなくてはいけなかった。