危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

「細々仕事しながら静かに暮らしてると聞いている。慰謝料の支払いも最後まで拒否されたよ」
「すみれは強いよ。いや、強くなった。俺はいい女を逃した」
「本当に馬鹿なことをしましたね」

 ははっと乾いた笑いが応接間に響いた。

「お互いな。念のために聞くが、すみれに近づいたのは利用するためじゃないよな?」
「違う」
「それだけ聞いて安心したよ。これで俺の償いは終わりだ。すみれへの懺悔の代わりだと思ってくれ。お前のためじゃない。お前が駆け付けたところで、また振られるだけかもしれないしな」
「なぜ今になって?」
「最近になって倒れたというのを聞いたんだ。ずっと具合はよくなかったらしいが……。それじゃ、あんまりだろう?」

 達也はじっと天井を見上げ、涙をこらえているように見えた。その様子から事態の深刻さに気付く。

「礼を言わせて下さい」
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