危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

「……会わせていただけませんか」
「今いないから、中へどうぞ」

 畳の部屋には小さなこたつがあり、みかんと編み物が置いてある。
短い間すみれと一緒に過ごしたあの部屋を思い出した。部屋の隅にすみれのものと思われるスケッチブックが積み上げられていた。

一緒にいた時何度もささやかな幸せを大切にしたいと言っていた。
きっとここですみれは、気を張ることなく穏やかに暮らせていたのだろうということは伝わって、少し救われた気がした。

「一度すみれがあなたをテレビで見かけて、喜んでたよ。逆境を乗り越えて、立派になったんだって。色々あってふさぎ込んでたけど、それから少し明るくなった」
「すみれがそんなことを?」
「こっちに来てからも何度か入院してね」

 今でもすみれが自分のことを気にかけてくれていた。同時にすみれが独りで病と孤独に耐えていたことを知り、複雑な気持ちになる。
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