危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 自分から別れを告げ、逃げ出したくせになんて自分勝手なんだろう。だけど、そうせずにいられなかった。なにより、届くあてもないものだ。その頼りなさが、叶うかわからない不確かさが、すみれにはちょうどよかった。

 閉じた眦から溢れたら涙が枕まで落ちていく。
 自分から逃げ出したのに、抑えがたい想いが溢れ出す。
 私が精一杯愛してたこと。蓮も愛してくれたこと。

 忘れないでほしい。

 生きるとはこうも見苦しい執着を抱き続けることなのか。
 だけど、最期になるならどうか許してほしい。

 もしも手術に成功して生きながらえたら、決して送ったりしないから。
 そしたら、もう前を向いて生きるから。
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