危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
二人はまだ深い関係はもっていなかった。女子高育ちで、ただでさえすみれ自身気難しい性格だったから、まともな恋愛経験もない。
達也のほうも結婚を考えていたから、すみれを急かすようなことはしなかった。
当然結婚するからには、そういうこともあるのだろうと思ってはいたが、急に言われて驚いた。
婚約するくらいだから、もちろん達也のことは好ましく思っている。狂おしいような恋は、むしろ穏やかな結婚には不必要だと思っていたから、自分たちはこのまま穏やかな愛情をもって結婚するのがよいとぼんやりと思っていた。
そもそも激しい恋など、映画やドラマ上のフィクションの世界のものだと思っていた。
「あの……私」
言いかけたすみれを達也が抱き寄せた。
「今は心配かけるわけにもいかないし、今夜は帰すよ」
達也がすみれの頬にくちづけた。
「ずっと二人きりでこうしていたいけれど、そろそろ行かなきゃならないようだ。ほら、お迎えが来たよ」