危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 片桐に聞こえるように達也がそう言い、すみれは帰りの車で気まずい思いをすることになった。

 ──片桐さんは私になんて興味ないのに。

 どうして当てつけのようにあんなことを言うのだろう。本当にやきもちを焼いているのか。いつもは穏やかな達也らしくない。

 幼い頃、母親を亡くし、多忙の父に面倒をみてもらったこともない。すみれと父を繋ぐのは、この家だけだった。情緒的繋がりはないが、やはり父の存在は大きい。

 他人を滅多なことでは信頼しない父が、まだ年若い片桐には心を許しているのが不思議だったが、少なくともすみれにとってはつかみどころのないタイプの人間に見える。

 感情の読めないポーカーフェイスはやはり冷たく見える。それは、飽くなき権力欲に取りつかれた父への反発を片桐に投影しているのかもしれなかった。

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