危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
いたずら電話だとわかっているのに、敢えて聞いてみた。こちらから切ってしまおうか。それでも息をひそめて、耳を澄ます。
しばらくすると向こうから通話が途切れた。
ただのいたずらかもしれないし、これくらいで自分の身に危険が迫っているとは思えないが、気分がいいものでもない。
邸宅の前には、警備員が常駐し、セキュリティは万全だ。
不審者が簡単に入ってきてなにかする、というのは考えにくかった。
脅迫状の内容について、詳しく聞くことはなかったけれど片桐にわざわざ送迎を任せるということは、すみれに危害を加えると予告するようなものだったのだろうか。
一体誰なのだろう。このような電話をしたところで利があるとは思えないし、脅迫されているわけではない。
こちらが名も知らない相手であっても、誰か知人が非通知でかけているにしても、不気味ではあるが、脅迫状を出した人間と同一人物かの確証もなかった。
通話を切ってから、少しすると再び着信音が鳴る。そのままで出ないでいると、延々となり続ける。誰かの悪意が、心の中にまで侵入してきそうで怖くなってそのまま電源を切る。
恨まれるようなことはしていないけれど、そうでなくとも恨まれることはあることぐらいもう大人だから知っている。