危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる



 仕事を終え、事務所を出ると、雨が降っていた。
 父の言いつけどおり、すみれは片桐の運転する車で帰ることになっていた。
 彼は車を置いてある駐車場から、律儀にすみれの職場の前まで迎えに来る。片桐にとって義務であっても、自分が雇っているわけでもないから、すみれは少し心地悪い。

 すみれも気を使ってなるべく毎日同じ時間に職場を出ることにしていた。毎回連絡して呼び出すのも気がひけるが、片桐は律儀にそれを守っていた。
 寡黙な人で、なにを考えているか全くわからないが、仕事ぶりはかなり有能なようで父の信頼は厚い。

 職場を出ると、すぐに片桐が目に入った。

「いつもごめんなさい」
「仕事ですから」

 ──ほかの仕事もあるのに、私の送迎に合わせて予定を立てるの大変だろうな。
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