危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

「あの……次の仕事の担当、私降りることはできませんか。まだ力不足なので不安です」
「一体どうして? せっかくクライアントにも評判がいいのに」
「私が選ばれたのは、仕事そのものの評価ではないと思います」

 すみれの陰口を叩いていた先輩の仕事は素晴らしかった。新人の自分ではまだまだ追いつけないと思った。けれど結果は違った。

鈴木は、訝しげな顔をする。

「誰かになにか言われたの? あなたが前回受賞したこと、私は間違いだとは思わないけど」
「私の仕事内容だけを見て決まったわけではありませんよね」

 はっきり言うと、鈴木が察したようだった。

「あぁ。お父さんのこと。もしクライアントにあなたが疑うような思惑があったとしても、私ならそれを武器にしてのし上がってやるって思うけどね。社会には競争があるのよ。どんなに才能があったって駄目になる子もいる。むしろそういう世界なの。運やコネも実力のうち。あなたはなにかと注目されやすいのだから、なおさらいい物を作って見せつけてやればいい」
「でも……」

 鈴木がふふっと笑う。

「親から離れた個人として認めてほしい? 大抵の人はあなたが羨ましいでしょうね。あなたってお金で苦労したことないでしょ? でもまずビジネスはお金にならないとなんにもできやしないのよ。いい物を作るのは当たり前。それをお金に換えてこそ一人前。それができてるのに拒否するなんて、会社の利益に反するのはわかる?」
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