危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
ならば、上司の言うとおり、結果を積み上げていくしかない。ほかの人とスタートラインが違うとしても、すみれ自身が不平不満を言うべきではない。
すみれの家を知らないクライアントから、褒められた時は嬉しかった。素の自分の成果を見てくれる人がいると思うと、頑張れる。
[今日は遅くなるのでタクシーで帰ります]
先ほど片桐に送ったメッセージは既読になっていた。
やはり人に合わせて行動するのは気を使う。
「はぁ……できた」
納得のいくものができたのは、深夜だった。事務所にはもう誰もいない。父も早く帰るようには言っていたが、仕事なら仕方あるまい。
パソコンの電源を切り、立ち上がろうとすると、眩暈がした。
──あれ……。やっぱりちょっと体調が悪いかも。