危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
色素の薄い長く細い髪は、日に当たると金色に見える。白すぎる肌はすみれを儚く見せた。実際、すみれは蓮から見て淡く儚く今にもどこかに消えていなくなってしまいそうな心もとない存在だった。
いつもなにかに耐えて、我慢しているように見える。迷子の一言で泣きそうになる。
──そういえば、船でも泣いていたな。
理由はわからないが、何不自由なく見えるお嬢様にも葛藤や苦しみはあるようだ。
無意識にあの父親の娘は、傲慢な人間に違いないと意識から除外していたが、思わぬきっかけで関わるようになり、それが蓮の心を乱していた。
憎しみや怒りを押し込めて、蓮は宝来正道のもとへやってきた。
美しい絵を見たせいか、自分の中のドロドロとした憎悪が生々しく感じられる。心の中にある悪意や憎しみといったものが禍々しいものなのだと痛感する。
華々しい婚約パーティーで人知れず涙していたすみれを想う。
なぜ泣いていたのか? 彼女にはいつもどこか影がある。考えまいとしても、すみれを見ると考えてしまう。
[今日は遅くなるのでタクシーで帰ります]