危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
片桐は答えなかったが、すみれはそうなのだと確信した。迎えに来なくていいと言ったが、来てくれたのだろう。律儀な彼らしい。
「待っててくれたのね……。忙しいのにごめんなさい」
「仕事ですから」
そうだ仕事だからだ。彼と自分の間には個人的な感情は一切ない。
「ありがとう」
「上條様も明日にはいらっしゃるそうです」
まだ状況がよくつかめていないが、ここはすみれのかかりつけの病院ではない。達也は確か今日は東北で大事な学会があるはずだった。来られなくても仕方がない。心細くはあったが、いつものことだと自分を納得させる。
「そう。あなたも忙しいのにごめんなさい。もう帰っても大丈夫だから」
「いや……それよりなにか必要なものがあれば、おっしゃってください」
「なにもないから大丈夫。あとで家政婦さんに連絡するから」