危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「これすごく面白かった」
「退屈凌ぎになるかなと思いまして」
退院後、数日ぶりに会った片桐は、いつも通りのポーカーフェイスだった。
「スケッチブックも乾かしてくれてありがとう」
でもわざわざ丁寧に乾かしてくれたであろう彼の心の正しさとか律義さみたいなものにちょっと胸を打たれて、言えなかった。
それにほんの1ページだけれど、片桐を描いたことがあるのを思い出した。見ただけではもちろんわからないだろうけれど、あのミステリアスできれいな横顔を一度真っ白な画用紙の上に表現してみたくなったのだ。
「中身、見た?」
「乾かす時に開いて少しだけ。森の中を子供が歩いてる絵、よかったです。勝手に見てすみません」