危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
二人で海へ向かう

 車庫に止めてある車に目をやる。

「父に会いたくないの。遠くへ行きたい」

 自棄だった。もうすぐ父が帰ってくると思うと顔を合わせたくなかった。今日だけは絶対に。

 思わず口をついた言葉に自分でも驚く。

 家にはいたくない。達也と婚約破棄をしたいと言って、父に許されるとも思えなかった。このまま消えていなくなりたい。

「遠くか……行きましょう」

 いつもどおり感情の読めない顔。どういうつもりかわからない。

「誰にも秘密で。行先は任せてもらっていいですか」
< 83 / 284 >

この作品をシェア

pagetop