危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
秘密。その言葉には背徳感がつきまとう。
戸惑うすみれを車に乗るように促し、片桐は車を発進させた。
──一体どこへ行くんだろう。
どこかへ行きたいのは本当だった。なにもかも忘れて知らないところへ行きたい。
思い出すと気が滅入る。目を閉じてなにも考えないようにした。なにも聞いてこない片桐がありがたい。相変わらずとらえどころのない男だ。
なにもかも見透かしたような涼しい顔で時々すみれを見つめる。
「宝来先生には、適当にごまかしておきます」
「ごまかさなくていいわ。ちゃんと話さないといけないし」
「たとえ親でも自分の気持ちを言うことは大切です」
その言葉に思った以上にすみれの性格をわかっているのだと気づく。生まれてから一度も父に歯向かったことはない。そうしても無駄だとわかっているからだ。
「あなたはきっといいご両親に恵まれたのね」
「ええ。おそらくは」