危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 澄んだ空と碧い海が一体となって眼前に広がっていた。
街道沿いにはさまざまなカフェやレストラン、古書店や雑貨店が立ち並び、それぞれが独自の魅力を放っている。潮の香りがする。
その中の一つの食堂の前に車を止める。

「少し気晴らしになれば」

 頭はぼんやりと重たいが、店の中からいい香りがした。

「食欲は?」
「あんまり……だったけどすごく美味しそう」

 ランチも食べずに達也と別れたから、食事のことなど忘れていた。時計を見ると5時を過ぎている。

「よかった」

 片桐が車を降りて扉を開け、すみれの手を取った。遠慮がちに手を取ると、どきりとした。

「気に入るかわからないけど」

 そう前置きして食堂の扉を開けると、お店の女性が蓮を見てあっと声を上げた。
< 86 / 284 >

この作品をシェア

pagetop