危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
澄んだ空と碧い海が一体となって眼前に広がっていた。
街道沿いにはさまざまなカフェやレストラン、古書店や雑貨店が立ち並び、それぞれが独自の魅力を放っている。潮の香りがする。
その中の一つの食堂の前に車を止める。
「少し気晴らしになれば」
頭はぼんやりと重たいが、店の中からいい香りがした。
「食欲は?」
「あんまり……だったけどすごく美味しそう」
ランチも食べずに達也と別れたから、食事のことなど忘れていた。時計を見ると5時を過ぎている。
「よかった」
片桐が車を降りて扉を開け、すみれの手を取った。遠慮がちに手を取ると、どきりとした。
「気に入るかわからないけど」
そう前置きして食堂の扉を開けると、お店の女性が蓮を見てあっと声を上げた。