危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「蓮じゃない。どうしたの。久しぶり……ってキレイなお嬢さん連れてどうしたの」
「ん、ちょっと気晴らし」
蓮に気づいた初老の男性が厨房からすみれに声をかける。
「苦手なのものはある?」
「ありません」
店内は狭いけれど、中途半端な時間のせいか数名の常連客らしき人しかおらず、アットホームな雰囲気だった。片桐がこういうお店に馴染みがあるのは意外で、普段全く想像できない彼のプライベートな一面をほんの少し垣間見た気すらした。
いつも表情の読めない瞳だが、今日は違う。
二人用の小さなテーブルに向かい合って座っていると、醜態を晒したことを思い出してまともに顔を見るのも恥ずかしくなってくる。
リラックスした様子で片桐が深く腰掛けると、膝と膝が触れたが、気にする様子もない。