危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
──こんなことを言うべきじゃなかった。
急激に下がった気温で、高揚に熱を帯びた頬が冷まされる。
「帰りましょう。あまり遅くなるとまずいから」
口調もいつものかしこまったものに戻り、すみれは二人の間にわずかだけあった親しみが消えてしまったような気がして寂寞の思いに駆られた。
今宵だけの魔法は、もう解けてしまったようだ。
──もうこんな夜は来ない。
すみれは、そう予感した。ひとときだけの夢だったのだと。