柚菜〜初恋編〜
あれから、毎日連絡をしていた。


電話越しで聞こえてくる雄太の声は、すごく優しくて、学校で聞く声とは違う感じがする



10円玉を沢山持ち、公衆電話から雄太の自宅に電話をする事もあった



何度か自宅に電話をしていたせいか、電話をかけると、「もしもし」と言うだけで、お母さんに「愛ちゃん!こんばんは!ちょっと待ってね〜雄太呼ぶからね」と言われ、認識されている事に少し嬉しかった



嫌なことがあっても、雄太と話したら、全部忘れられた。同時に、罪悪感も感じていた。




何回も、本当の事を話そうとしたが、柚菜は言えなかった。






お互いが、お互いの存在が大きくなっていくのを感じる




12月


今日はクリスマス


街は、カップルで賑わっている




クリスマスなのに、祖父の機嫌が悪く、朝から何度も、殴る蹴るを繰り返されていた。



ただ痛くて苦しくて、夜、柚菜は家を飛び出す



走って


神社に行く


誰もいない神社は、今の柚菜には心地よかった



階段に座り、携帯を取り出す



クマのストラップを見る



雄太に、メールをする


柚菜【何してる?】


雄太【今?何にもしてないよ?高瀬は?何してる?】


柚菜【私は、神社にいる。】


雄太からの返事はこなかった




柚菜は、携帯を置きため息をつく



柚菜「何してんだろう」



風が冷たい




帰ろうとした時、誰かが階段を上ってくるのが見えて、少し怖くて、足を止める柚菜





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