「みんなで幸せになると良いよ。」
5分くらいか黙ったままで海と海の向こうを見てた。
彼女は砂浜にゆっくり座った。

「ズボン汚れるで。」

僕は沈黙を破りたくて、どうでもいいことを言った。

『ズボンって!いまどきの若者が、ズボンって!』

細かい砂の上に寝転がって笑った。

また、きた。

彼女の態度は微笑ましかったし、一緒に笑いたかったのに、
「変な感じ」はまたやってきて笑顔を奪った。

幸い彼女は気付かずに笑い続けた。

僕が笑顔を取り戻したとき、不意にヒイラギと目が合った。

涙目になってジーンズの砂を払いながら
『おもろい!』と大声で
僕を指差し起き上がり、また笑いだした。

笑ってる彼女の横に座り、肩を抱く。


目は潤んだまま、


笑顔が消えた。
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