「みんなで幸せになると良いよ。」
簡単な診察、分娩台での触診、エコー。

検査が終わると「おめでとうございます」といわれた。
若い男性医師もあまり言い慣れない台詞だったのか照れたように微笑んで言ってくれた。


『やった。これで相川家から出て行ける。この子と2人で生きよう。』


そう決めた。小さな2人の家族も探そう。
ナースも口角をあげたまま「では、検査着着替えていただいて…。」と診察終了後の対応をはじめた。

男性医師に診られた恥ずかしさなんか吹っ飛んで、希望に満ち溢れていた。

診察室の電話が鳴る。

「ちょっと失礼しますね。…はい、はい、はい分かりました。はい。」
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