「みんなで幸せになると良いよ。」
停車駅、おばぁちゃんは

『それあげるからね。嫁さんにおあげ。』

と笑って駅に降りた。

知らないおばぁちゃんは電車が見えなくなるまで、笑顔で手を振ってくれた。



とまらなくなる。


涙を拭うには十分でも

人の死を拭うには薄っぺら過ぎるハンカチ。それでも水滴を吸い取ってくれた分だけ、心が軽くなれた気がした。




上品な紺色は濡れた分、深い色してた。
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