「みんなで幸せになると良いよ。」
車内は割りと空いていた。

座れるほどではなかったけれど、
入り口付近の銀の手すりなら占領できた。

車窓からの景色はどんどん僕らの後ろ側になっていく。

通り過ぎてくレジャー施設はゲームセンターから
さびれた木造の貸しボート屋や、ちゃちな海の家に変わっていく。

砂浜のボートは何隻も並んで裏返されてる。

彼女はただ黙って車窓からの景色を眺めていた。

僕はただ黙っている彼女を見てた。
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