タオル係の、独占欲。(短)


バシャ



「うそつき」

「っ!」



その時、急に。


後ろから、温かい体温が伝わってくる。

雨音がすごくて、直前まで気づかなかった。緒都くんが、私を追いかけ走って来てくれたことに――



「タオル係、まだいるんでしょ?」

「~っ」

「強がり、強情。ほんと、素直じゃないんだから」

「緒都、くん……っ」



振り向くと、緒都くんが眉を下げて笑っていた。

その顔に「バカだなぁ」って文字が、浮かんでいる。



「泣くのは俺の前だけにしてって言った。だから、ホラ」



カバンから、二枚のタオルを出す。それは、私が今日もってきたタオル。洗濯済みの、緒都くんのタオル。

一枚は私の頭に、そしてもう一枚は自分の頭に。

だけど……それぞれの頭に乗ったタオルは、この激しい雨の前に太刀打ちできず。私たちを拭く前に、秒で湿って行った。
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