茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
「えっと……ごめんなさい、陽翔……連絡しないで心配かけたのと、変な早とちりしちゃって……確認もしてないのに、勝手に裏切られたかもしれないなんて思ってごめんなさい」
百子は穴があったら入りたい気持ちになった。あの女性が陽翔の妹だというのを知らなかったとはいえ、陽翔の身内に嫉妬するなぞあまりにも間抜けではないだろうか。
『なるほどな……百子の事情は分かった。百子でも嫉妬することあるのか。まあ確かに百子は妹の姿形は知らなかったし、仕方ないっちゃ仕方ないが……百子、どうした?』
百子はびくりと体を震わせた。百子からの返答がないので陽翔が声を掛けるが、彼女は座り込んだまま下を向き、謝罪と涙がぽろぽろと、あとからあとからこぼれ落ちた。
「ご、ごめん、なさい……嫉妬なんかしちゃって……そんな重たいことするつもりなんてなかったの、だからお願い、見捨てないで……私を嫌いに、ならないで……!」
『え、百子……? どうしたんだ? 別に嫉妬したくらいで俺は怒らないし、嫌いにもならないぞ?』
陽翔の戸惑う声が聞こえたが、百子の口からは謝罪しか出てこない。百子にとって嫉妬は鬼門だ。弘樹に見捨てられた原因の一つでもあり、そんな醜い思いを抱えていることを陽翔には知られたくなかったのに、あっさりと看破されてしまった。
「ごめんなさい……陽翔……ごめんなさい……」
なおも謝罪を繰り返す百子の耳朶を、強い彼の口調が叩く。
『百子、今から迎えに行く。そんなに辛い思いをしてたとはな。俺は百子と面と向かって話がしたい。お前にこれ以上辛いことや悲しいことを抱えて欲しくないんだ。百子が溜め込むのを見ている俺も辛い。だから俺に聞かせてくれ』
スマホの奥から何やら慌ただしい音が聞こえたと思うと、ドアの閉まる音と規則的な靴音がそれに取って代わる。百子は洗面所から出てしばし逡巡したものの、囁くように決意を口にした。
「陽翔……えっと、友達に伝えてくるから少しだけ待ってて」
『分かった。迎えに来て欲しいなら位置情報をメッセージ飛ばしてくれ』
陽翔がスマホの奥で微笑んだような気がした。その後電話が切れたので百子はくつろいでタブレットで動画を見ている美咲に恐る恐る声を掛ける。
「美咲……あの、今日泊まる予定だったけど、陽翔とちゃんと話したいの。それで位置情報を教えてもいい?」
「うん、会話もちょっと聞こえてたから何となくそうなると思ってた。良かったじゃん」
美咲はにししと笑うだけだが、百子は目に見えて落ち込んでいた。
「美咲、振り回してごめん」
「いいって。むしろ帰らないならちょっと怒ってたかも。それにしても迎えに来てくれるなんて、どれだけももちゃんを独占したいんだか。愛されてるね。それじゃあ彼が来るまで女子会しよっか。お茶しかないけど」
百子は位置情報を陽翔宛のメッセージに飛ばして、しばし美咲とのおしゃべりに花を咲かせた。
百子は穴があったら入りたい気持ちになった。あの女性が陽翔の妹だというのを知らなかったとはいえ、陽翔の身内に嫉妬するなぞあまりにも間抜けではないだろうか。
『なるほどな……百子の事情は分かった。百子でも嫉妬することあるのか。まあ確かに百子は妹の姿形は知らなかったし、仕方ないっちゃ仕方ないが……百子、どうした?』
百子はびくりと体を震わせた。百子からの返答がないので陽翔が声を掛けるが、彼女は座り込んだまま下を向き、謝罪と涙がぽろぽろと、あとからあとからこぼれ落ちた。
「ご、ごめん、なさい……嫉妬なんかしちゃって……そんな重たいことするつもりなんてなかったの、だからお願い、見捨てないで……私を嫌いに、ならないで……!」
『え、百子……? どうしたんだ? 別に嫉妬したくらいで俺は怒らないし、嫌いにもならないぞ?』
陽翔の戸惑う声が聞こえたが、百子の口からは謝罪しか出てこない。百子にとって嫉妬は鬼門だ。弘樹に見捨てられた原因の一つでもあり、そんな醜い思いを抱えていることを陽翔には知られたくなかったのに、あっさりと看破されてしまった。
「ごめんなさい……陽翔……ごめんなさい……」
なおも謝罪を繰り返す百子の耳朶を、強い彼の口調が叩く。
『百子、今から迎えに行く。そんなに辛い思いをしてたとはな。俺は百子と面と向かって話がしたい。お前にこれ以上辛いことや悲しいことを抱えて欲しくないんだ。百子が溜め込むのを見ている俺も辛い。だから俺に聞かせてくれ』
スマホの奥から何やら慌ただしい音が聞こえたと思うと、ドアの閉まる音と規則的な靴音がそれに取って代わる。百子は洗面所から出てしばし逡巡したものの、囁くように決意を口にした。
「陽翔……えっと、友達に伝えてくるから少しだけ待ってて」
『分かった。迎えに来て欲しいなら位置情報をメッセージ飛ばしてくれ』
陽翔がスマホの奥で微笑んだような気がした。その後電話が切れたので百子はくつろいでタブレットで動画を見ている美咲に恐る恐る声を掛ける。
「美咲……あの、今日泊まる予定だったけど、陽翔とちゃんと話したいの。それで位置情報を教えてもいい?」
「うん、会話もちょっと聞こえてたから何となくそうなると思ってた。良かったじゃん」
美咲はにししと笑うだけだが、百子は目に見えて落ち込んでいた。
「美咲、振り回してごめん」
「いいって。むしろ帰らないならちょっと怒ってたかも。それにしても迎えに来てくれるなんて、どれだけももちゃんを独占したいんだか。愛されてるね。それじゃあ彼が来るまで女子会しよっか。お茶しかないけど」
百子は位置情報を陽翔宛のメッセージに飛ばして、しばし美咲とのおしゃべりに花を咲かせた。