茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
祖父の会社は上場企業でも何でも無いのに、そこまで内情がバレているとは百子の考慮の外だった。しかも急に祖父のことを振られてしまい、彼女はあわあわと口にした。
「は、はい……元気にしてますよ。最近私が忙しくて会えてませんが」
かれこれ祖父とは一年単位で顔を見ていなかった。祖父が嫌いな訳では無いが、自分の母を虐めたのも同然な祖父とはなるべく顔を合わせたくないのである。百子には相変わらず優しいおじいちゃんなのだが、母の千鶴には風当たりが強く、それを目撃するのは心地の良いものでもなかった。
「そっか……それじゃあ陽翔と早く結婚して、花嫁姿を見せてあげないとね」
そんな百子の内心を知らない健二はニコニコとしていたが、裕子は眉間に皺を寄せて首を振った。
「健二さん。私はまだ百子さんのことを認めた訳では無いですよ! 百子さんの勇気と真っ直ぐな気性は好ましいですが、それとこれとは別です! 失礼ながら百子さんと東雲家は同格の家ではないはず。価値観の違いできっと苦労するわ。結婚は育った家が違い過ぎると長続きしないしお互いが不幸になるのよ! だから手を切ってと言ったのに……!」
(え……?)
百子は健二に向かって厳しい口調で主張するのを聞いて目を丸くしたが、隣の陽翔の言葉でそちらに注意を向けた。
「いや、価値観なら俺達は似てる。何なら育った家も似てるぞ。百子は絵画やクラシック音楽、華道や茶道にバレエへの造詣が深い。百子のお母様は社長令嬢だからその娘である百子だって教養があっても何ら不思議じゃないぞ。大学の時だって、俺がふっかけた芸術系の話に食いついた女は百子だけだった。マナーも作法も百子は完璧だし」
陽翔が褒めちぎるので、百子は動悸がしてきて思わず胸に手を当てる。人生でこんなに褒められたことは片手で数えられるため、褒められ慣れていないのもあるが、いくら何でも褒め過ぎではないだろうか。
「それに……俺は百子と一緒に暮らして、百子となら共に歩めるって思った。家事も役割分担してやってるし、俺が婚約破棄したって話も、その時傷ついた気持ちも全部聞いて受け入れて、俺に寄り添ってくれたんだ。俺には百子しかいない。一生大事にして百子の見る未来を一緒に見たいんだ」
「は、はい……元気にしてますよ。最近私が忙しくて会えてませんが」
かれこれ祖父とは一年単位で顔を見ていなかった。祖父が嫌いな訳では無いが、自分の母を虐めたのも同然な祖父とはなるべく顔を合わせたくないのである。百子には相変わらず優しいおじいちゃんなのだが、母の千鶴には風当たりが強く、それを目撃するのは心地の良いものでもなかった。
「そっか……それじゃあ陽翔と早く結婚して、花嫁姿を見せてあげないとね」
そんな百子の内心を知らない健二はニコニコとしていたが、裕子は眉間に皺を寄せて首を振った。
「健二さん。私はまだ百子さんのことを認めた訳では無いですよ! 百子さんの勇気と真っ直ぐな気性は好ましいですが、それとこれとは別です! 失礼ながら百子さんと東雲家は同格の家ではないはず。価値観の違いできっと苦労するわ。結婚は育った家が違い過ぎると長続きしないしお互いが不幸になるのよ! だから手を切ってと言ったのに……!」
(え……?)
百子は健二に向かって厳しい口調で主張するのを聞いて目を丸くしたが、隣の陽翔の言葉でそちらに注意を向けた。
「いや、価値観なら俺達は似てる。何なら育った家も似てるぞ。百子は絵画やクラシック音楽、華道や茶道にバレエへの造詣が深い。百子のお母様は社長令嬢だからその娘である百子だって教養があっても何ら不思議じゃないぞ。大学の時だって、俺がふっかけた芸術系の話に食いついた女は百子だけだった。マナーも作法も百子は完璧だし」
陽翔が褒めちぎるので、百子は動悸がしてきて思わず胸に手を当てる。人生でこんなに褒められたことは片手で数えられるため、褒められ慣れていないのもあるが、いくら何でも褒め過ぎではないだろうか。
「それに……俺は百子と一緒に暮らして、百子となら共に歩めるって思った。家事も役割分担してやってるし、俺が婚約破棄したって話も、その時傷ついた気持ちも全部聞いて受け入れて、俺に寄り添ってくれたんだ。俺には百子しかいない。一生大事にして百子の見る未来を一緒に見たいんだ」