茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
★R18
「もー! 何で急に降ってきたのよ……」

「出掛けるときは良い天気だったのにな」

濡れ鼠な二人は玄関に転がり込むなり不満を漏らす。よりにもよって雨宿りできる場所が無い時にバケツをひっくり返した様な雨が降ってきてしまい、ちょうど坂を登るはずだった二人は、坂から自分達に押し寄せる水に逆らいながら走って帰ってきたのだ。

「良かった、中身は濡れてないみたい」

ランジェリーの入った紙袋の中身を確認し、心なしか嬉しそうにつぶやく百子を陽翔は一瞥したが、すぐに顔を赤くして目をそらす。Tシャツがうっすらと百子の肌色と、彼女のブラジャーに包まれた胸の形や腰のくびれを写しているからだった。

「百子、風呂沸かすから入れ。風邪ひくぞ」

陽翔は百子に背を向け、やや上ずった声でそう告げる。百子が安堵してありがとうと言うのを右手を上げて答え、すぐにリビングに消える。それを見届けた百子はぶるりと身を震わせ、紙袋を寝室に置き、そのまま浴室に駆け込んだ。お湯がまだ張られていないので、頭からシャワーを被って冷えた体を温める。

「それにしてもすごい雨だったわ」

「そうだな。雷も鳴ってたし」

百子の背中を冷えた風が撫でたと思えば、陽翔が百子の呟きに答える。彼女は後ろを向くや否や、陽翔の両手が腰に回り、温かくしっとりした肌色が彼女を包み込んだ。

「え、待って。何で入ってきたの」

裸眼の陽翔と目が合って、百子の頬に朱がさした。抱きしめられて自分の心臓が歓喜と羞恥で高鳴ってしまい、陽翔の胸を手で押しのけようとしてもびくともしなかった。日頃から筋トレをしている陽翔に百子が敵うはずも無い。

「だって俺も寒いし」

そう言って陽翔は百子を抱きとめる腕に力を込める。濡れ鼠になって冷えていた体が、お互いの体温を分け合って混ざり合い、あっという間に火照っていく。

「ちょっ、恥ずかしいわ……一緒にお風呂なんて」

自分の下腹部に固くて熱い物が当たってることに気づいた百子は身をよじる。陽翔は腕を緩め、百子を前に向かせてシャワーを浴びせた。

「もっと恥ずかしいことをした仲なのにか? 今更だろ。俺はずっと一緒に百子と風呂入りたかったけどな」

陽翔は彼女の耳元でそっと囁きながら、そのまま百子の濡れた柔らかな双丘に、腹に、太ももに、手に取ったボディーソープをゆっくりと塗りたくってゆく。

「え、待って、自分で洗える……っ! んんっ!」

百子の抗議の声は陽翔の口の中に消えてしまう。唇を、舌を、歯列を丹念に彼の舌でなぞられ、くぐもった声すら陽翔の舌に絡めとられる。
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