【短】made by……
「奥山、お茶ありがとう。……悪いんだけど、彼女たちの分も頼んでいいかい?」
「承知いたしました。お嬢様方、ミルクと砂糖はどういたしましょう」
余計な仕事が増えてしまったが仕方ない。
砂糖多め、ミルクは豆乳がいい、レモンをつけろ、アイスティーじゃないと飲めないetc.……
リミは口々に言われる注文をメモすることなく確実に記憶し、踵を返す。
扉を閉じたところで、部屋の中から小さく女の子たちの声が聞こえてきた。残念ながらこの部屋は防音ではないのだ。
「ねえ、充希くん。あのメイド不愛想すぎじゃない?」
「わかる、完全にアタシらのこと睨んでたって」
「怖~! もっとマシな人雇った方が良いと思うよ? 充希くんの品位のためにもさ」
リミは表情を変えないまま、小さくため息をついた。
睨んだつもりはないし、不愛想なのも自分でわかっている。だが、自分の存在が主である充希の品位に関わるというのは少しだけ傷ついた。
それ以上彼女たちの言葉を聞かなくても済むように、リミは速足で厨房へ向かった。