契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
久世家の家族構成はよく知らないが、彼が跡継ぎではないと知って心から安堵する。
「では、式はなしでお願いします。新婚旅行もなしでいいです。柊吾さんはお仕事に専念してください」
 柊吾さんには重要任務があるのだから、式の準備などで彼の手を煩わせてはいけない。それに、愛し合って結婚するわけじゃないもの。
「……本当にそれでいいんですか?」
 少々呆気に取られた顔をする彼に、笑顔を作って言った。
「はい。目立つのは苦手ですし、華子さんとの推し活もあるので。柊吾さんのお仕事の邪魔はしないようにしますから安心してください」
 今と変わらない平穏な生活が送れれば、私は満足なのだ。
「それは……ありがとう」
 少し考えるような表情で柊吾さんが礼を言う。
 考えてみたら、こうして彼とふたりでタクシーに乗るのだって私にとっては幸せなこと。ふふっ、柊吾さんの時間を独占中。
 チラリと彼の横顔を見て、改めて美形だと再認識する。
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