契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 ツンケンした態度で返してゲストルームに行こうとしたら、彼に強く腕を掴まれた。
「それは認められないな」
 妖しく光る柊吾さんの目を見て、思わずゴクッと唾を飲み込む。
 周囲の空気も一気に冷え込んで、鳥肌が立った。
 その切れ長の二重の目に囚われ、氷のようにカチンと固まる。
 え? 急にどうしたの? なんだか高圧的。
 ついカッとなって、詐欺師って言ったこと怒ってる?
 私の知っている優しくて紳士的な彼じゃない。目の前にいる彼はなんというか……まるで美しい魔性。
「……ど、どうしてダメなんですか?」
 戸惑いながらか細い声で柊吾さんに問うと、彼は面倒くさそうに理由を説明する。
「このマンションは祖母の所有で、祖母も鍵を持っているから、いつやってくるかわからない。偽装結婚だと疑われたくないんだよ」
 ああ。彼女は心臓が弱いから、偽りの結婚だと知ったらショックを受けるかもしれない。だから、なんとしても愛し合って結婚したと思わせたいのだろう……って、ここでほだされてはいけない。
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