愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「こちら西池袋救助、東京消防どうぞ」

【こちら東京消防。ビル二階部分より出火、黒煙を上げて延焼中。要救助者、複数の可能性】

「西池袋救助、了解。出場する」

きゅっと無線を握り込み、奥歯をかみしめる。

出火、延焼中との情報。先日のようなボヤでは済まない、本格的な火災だろう。

「到着後、即座に検索準備。消火隊と連携して進入する」

感情を押し殺して隊員たちに指示を出す。「はい!」という引き締まった声が返ってきた。

今日、カフェやジムは定休日だったはずだ。大勢の客が逃げ遅れるという最悪の事態にはならないだろう。

だが、真誉は出勤すると言っていた。

……無事に避難してくれているといいんだが。

祈るような気持ちで現場に到着すると、すでに激しい黒煙が噴き上がっていた。

二階の窓からはちらちらと炎が見え、三階も煙が充満している。

『一階、二階は要救助者ナシとの情報』

『三階に要救助者一名いる可能性。四から六階のオーナーと連絡が取れていない。要救助者の人数、不明』

『三階に延焼を確認。消火隊、援護注水準備!』

指示が飛び交う中、指揮隊のそばで情報提供していたビルの関係者らしき女性が駆け寄ってきた。

「北斗さん!」

よく見ると彼女は、真誉が『優多さん』と呼び懐いている人物。真誉の友人であり、カフェのオーナーを務めている女性だ。

「真誉は!?」

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