愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
優多さんはピリピリしたまま腕を組んでいる。そこまで言うのだから、よっぽど性格に難アリな人物だったのだろう。

「私も気をつけておくね」

八尾さんの『二階の連中には気をつけた方がいいぞ』という言葉を思い起こす。

私たち自身はもちろん、お客様の命にも関わることだ。いざというときのために最大限の対策をしておかないと。

それに、優多さんは人を見る目に長けている。彼女が信用できないというなら、気をつけなければ。

彼女の予感はよく当たるのだ。




それから三週間後。

営業時間が終わったあと、新作の試食会と銘打って、優多さんが友人たちを集めてくれたのだが――。

「優多さん? ええと、これはどういう……?」

中央のテーブル席が、なんだかおかしな様相と化している。

そんな中、キッチンにやってきたのは、私たち共通の知人。

栄養学校時代の同級生、一ノ瀬美波(いちのせみなみ)。私と同じ二十四歳だ。

「ふたりとも久しぶり。カフェ経営はどう?」

そう尋ねてきた彼女は、優多さんと同じ栄養士の資格を取得しており、今は食品メーカーで働いている。

「うん、山あり谷ありだったけど、今は順調よ」

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