愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
責められ叱られ、教えてあげると優しい声をかけられ、情緒がめちゃくちゃになりそうだ。思考がぐるぐるしてどうしたらいいのかわからない。

腕を引かれ、半ば強引にネオンの眩しい飲み屋街へ引きずり込まれる。

辿り着いた先はお酒を飲むお店――ではなく、裏路地にあるラブホテル。

完全に思考がフリーズして、体が硬直した。

「あの、なんで……ここって……」

「ゆっくり休憩して話そうよ。大丈夫、なんにもしないから」

なにもしないならホテルでなくてもいいんじゃ。そう口にする勇気はなかった。

大人しくついていくべきかと迷うけれど――。

「ごめんなさい……」

嫌悪感が勝った。大きく首を横に振って拒む。

「ええー? ここまで来ておいてそれはないでしょ。俺にも桜庭にも恥かかせる気?」

優多さんの名前を出されて心が揺らぐ。

ここまでついてきてしまった私が悪いの? 大人しく誘いにのるべきなの?

どうしたらいいのかわからない、誰か助けて、心の中でそんな悲鳴をあげたとき。

背後から近づいてきた人物が三津屋さんの腕を掴んで、私から引き剥がした。

「彼女に触れるな」

怒気を含んだ低い声。驚いて顔を上げると、涙で滲んだ視界の奥によく知る顔があった。

「北斗さん……!」

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