愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
伯母との関係は険悪ではないものの、真誉を引き取るには抵抗があったようだ。

あちらはあちらで家庭があるのだから、仕方がない。

『でも、北斗さんと一緒に暮らすって言ったら途端に「やめなさい」だって。「悪い男に騙されてる」「遺産を取られるわよ」って。自分の都合でしか私を見ていないんだわ』

どうやら俺は遺産目当てで真誉に近づいたと思われたらしい。

珍しく真誉がぷんすか怒っている。受話口の先で頬を膨らませているのだと思うと、かわいくてつい笑ってしまった。

「そう言ってくれるな、真誉を心配してくれてるんだから」

真誉は見るからに素直だから、男に騙されやすいと考えたのだろう。なにしろ実兄の遊真も同じ心配をしていたくらいだ。

「俺が挨拶に行けば済む話だ」

数日後。俺はスーツを、彼女はきちんとしたワンピースを着て、親戚の家に向かった。

『真誉さんとは幼馴染で、二十歳になってから交際を始めました』『兄を亡くしたばかりの彼女をひとりにさせるのは心配です。同棲をお許しください』

彼女と一緒になって丁寧に頭を下げた。

交際していると嘘をついたのは説明がしやすかったから。

結婚については、彼女が大学を卒業し、社会に出て経験を積んでから考えたいと説明した。

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