愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
『同棲はまだ早いという意見はもっともです。ですが、真誉さんは今、家族を失ってたったひとりで苦しんでいます。俺に彼女を支える許可をください』

誠実に頭を下げたら、親族も納得してくれた。

むしろ、真誉をそばで見守ってくれる人間がいるなら越したことはないと思ったのだろう、好意的に迎えてくれた。

帰り道、気が抜けたのか揚々とする彼女を家まで送る。

「それにしても、北斗さんの気に入られっぷりったら、びっくりしちゃった。『あんなに素敵な人、なかなかいないから、絶対に逃さないようにね』なんて」

肩を竦めて伯母の口真似をする彼女に、俺は声をあげて笑った。

「気に入ってもらえたならなによりだよ」

「それに、北斗さんも北斗さんで真剣に挨拶しすぎ。私、本当にお嫁に行くのかと……」

頬を赤くしてそんなことを言うから、思わずこちらまで顔が熱くなってしまった。

結婚前提の挨拶だからと思ったのだが、『真誉さんを大切にします』は言い過ぎだったかもしれない。

「悪かったな。大事な台詞を俺が先に使って。未来に旦那に謝っておいてくれ」

「未来の私の旦那さまは、ハードルが高くてかわいそうね。北斗さん以上に立派な挨拶しなきゃならないんだもの」

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