愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「勤務が明ける直前に出場司令があって、現場に行ってたんだ」

「そっか。……そうだったんだ。無事に帰ってきてくれてよかった」

彼女は気が抜けたのか、すとんと肩を落とす。

「……その。つい、なにかあったんじゃないかと思って」

濡れた睫毛をぱちりと瞬かせる。きらりと輝く涙の痕に胸がずきりと痛んだ。

「心配、してくれてたのか?」

控えめに微笑む彼女を見て、まだ兄の死から立ち直れていないのだと悟る。

帰宅の遅い俺に、帰ってこなかった兄を重ねていたのだ。彼女の傷を再び抉ってしまった。

「ごめんな」

思わず、彼女に手を伸ばし背中から抱きすくめた。愛おしくて、申し訳なくて、感情が揺さぶられる。

「北斗さん!?」

「不安にさせてごめん。怖かっただろ」

すると彼女は、俺の腕をきゅっと抱きしめ丸くなった。

「嫌な記憶が蘇ってきたの。大丈夫だろうってわかってるのに、止められなくて」

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