愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「一日遅れちゃったけど、バレンタイン」

「ありがとう。もしかして、特別って言ってたやつ?」

「うん。北斗さんには、今の私が作れるお菓子の中で最高のものを渡そうって決めてたの」

それって本命ってことか?と尋ねかけ、いちいち確認するのも無粋だと口を閉じる。

これまで兄に渡していたものが俺に回ってきただけだ。ありがたくその役割を引き継ごう。

ラッピングを解くと、中にはふたつのチョコレート菓子が入っていた。

ひとつは先日のフロランタンにチョコレートがかかったもの。

もうひとつは、市販の高級品と間違わんばかりの手の込んだチョコレートだった。

サブレの上にチョココーティングとドライフルーツ。トッピングに使われているプレートは、花びらひとつひとつが丁寧に手作りされた芸術作品だ。

「これ、本当に真誉が作ったのか?」

「製菓専攻の友だちに習って作ったの。ちょっといびつになっちゃったけど……」

「いや、すごく綺麗だ。プロが作ったようにしか見えないよ」

彼女が「ここ」と花びらの一部を指さす。

確かに少し大きさが違うような気もしたが、それも味わいと言われれば納得してしまう。

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