愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
つい数カ月前まで絶望に打ちひしがれていたはずなのに、今はもう未来に目を向けている。

なかなか立ち直れないだろう、そう思っていただけに、彼女の成長が嬉しかった。

「偉いな。ちゃんと先のことを考えてるんだ?」

「それはみんな同じよ。就職組は就活が始まるし。卒業したら自力でお金を稼いで生きていかなきゃいけないんだから。いくら北斗さんがいるからって甘えるわけにはいかないもん」

守ってやらなきゃなんて、偉そうなこと考えてたけど。

ちゃんと彼女は前を見て、社会人として歩き始めようとしている。

「応援してる」

想像以上に自分は非力で、そばにいて見守るくらいしかできないが、できる限り寄り添ってやりたい。

すると彼女はにっこりと笑って言った。

「ありがとう。北斗さんが見ててくれるって思うと、頑張れる」

はにかむような初々しい笑顔に不意を突かれる。

「このチョコレートも張り切っちゃった。お兄ちゃんにだって、こんなに頑張ったチョコ、あげたことないんだから」

照れながら言う彼女に「そうなのか?」と間抜けな声を出す。

「もちろん。そこはやっぱり、見栄っていうか。お兄ちゃんと北斗さんじゃ違うよ」

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