愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~

それからあっという間に月日が経ち、真誉は大学を卒業した。

卒業式の日。運悪くその日は勤務で、袴姿を直接目にするのはかなわなそうだ。あとで写真を見せてくれと頼んだ。

その日の夕方、消防車両の点検のため一階駐車場へ出ると、消防署の前を袴姿の一団が横切った。

思わず目が吸い寄せられる。どこの学校も今日は卒業式らしい。

ふと数歩遅れて歩く女性に目を向ければ、華やかにセットされたハーフアップスタイルに、紅色の着物、藍色の袴。

「っ、真誉!?」

こちらをきょろきょろと見回しながら歩く彼女と目が合って、思わず声が漏れてしまった。

彼女はあっ、と驚いたような顔をして一瞬喜ぶも、勤務を邪魔してはいけないと思ったのか、そそくさと足を速める。

「真誉!」

同僚に「悪い」と声をかけ、彼女のもとへ走っていく。

気づいた彼女は立ち止まり、慌てて大きく頭を下げた。

「ご、ごめんなさい! 邪魔するつもりじゃなかったの! ただ、ちょうど通りかかったから、北斗さんもいるかなって覗き込んじゃって」

彼女は申し訳なさそうに、足もとをもじもじさせている。

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