敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 たしかに明日は日曜日だけれど……。

 迷っている私の顔を隼人さんが覗き込む。

「仕事としてではなく、未希の意思で決めたらいい」

 あくまでも私個人への誘いという体にますます身の振り方に迷う。

「あの、お風呂の準備をしておきたくて……」

 そこで言いよどみ、おそるおそる隼人さんを上目遣いに見た。

「だから隼人さんはコーヒーを淹れておいてもらえますか?」

 私も彼と過ごしたい。仕事だからではないけれど、隼人さんが望んでくれるのならかまわないのかな? 夫婦として歩み寄っても、彼と対等な関係に一瞬でもなれたら。

 隼人さんは虚を衝かれた顔をしたあと、ふっと微笑んだ。

「わかったよ、奥さん」

 彼の笑顔に顔が熱くなる。さっさと踵を返して私は残りの用事を済ませてしまおうとその場を離れた。

 一通りするべきことをこなしリビングに戻ると、コーヒーのいい香りが漂っていた。ソファテーブルの上にはカップがふたつ並び、私の分のコーヒーにはミルクが用意されていて、おまけにチョコレートまで添えられている。

 こういった気遣いが隼人さんらしい。映画を観る準備はばっちりだ。

「お待たせしました、コーヒーありがとうございます」

「ああ」

 隼人さんの隣に腰を下ろすと、キスしたときと同じシチュエーションに、嫌でも記憶がよみがえる 。

 でも今日は映画を観るだけだし!

 ドキドキしながら前を向いていると、隼人さんがリモコンを操作し、間もなく映画が始まった。
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